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オーストラリアの世界遺産

クイーンズランド州

グレートバリアリーフ自然遺産・1981年・クイーンズランド州

オーストラリア北東部の海岸沿い一帯に広がる世界最大の珊瑚礁帯、グレートバリアリーフ。国内初であり、世界最大の世界遺産です。200万年も前から生息する珊瑚礁が少しずつ成長し、全長2,000Km(日本列島の長さに匹敵)にも及ぶ珊瑚礁帯となりました。そこには大陸から孤立してできた約600もの島々と約300もの珊瑚礁が浮かびます。4つある自然遺産の登録条件をすべてクリアした、まさに地球の宝。ケアンズなどの都市からクルーズやダイビングなどの様々なツアーが出ており、中にはリゾート化され、設備の整ったホテルや数々のアクティビティが用意され、世界中から観光客が集まります。約400種の珊瑚や約1500種の魚などが生息する生物の楽園。ダイバーにとっての楽園でもあります。しかし、どこでも遊泳可能という訳ではなく、遺産保護のため立ち入りを禁じられている場所もあります。

フレーザー島自然遺産・1992年・クイーンズランド州

ブリスベンの北約250kmに位置する世界最大の砂でできた島。南北123kmに渡って伸びており、通常砂の島にはできないはずの湖や熱帯雨林が広がっています。ディンゴやワラビーをはじめ、ポッサムなど200種類以上の様々な生物が棲んでいます。一歩内陸に入れば、ほとんど人間の手が加えられていない熱帯雨林が生い茂り、40以上ある淡水湖は世界で最も透明度の高いものの一つとして知られ、特に島内最大のマッケンジー湖はこの島の観光名所となっています。湖水は砂で浄化され、限りなく透明に近づき、湖底の砂はごくゆっくりとしか水を通さないほど固まっているため、湖はほとんど枯れることがありません。島内は未舗装で砂地のため4WDか6WDでしか走ることができません。また、島の東海岸には100km以上砂浜が続く75マイルビーチは壮観。そしてホエールウォッチングの名所としても有名です。

クイーンズランドの湿潤熱帯地域自然遺産・1988年・クイーンズランド州

クイーンズランド州北東部に広がる熱帯雨林帯。約1億3000万年前からオーストラリア大陸を覆っていた森林の一部と言われている世界最古の熱帯雨林。その時代に恐竜が食べていたと言われる植物が未だに残っており、それらは世界で見ても稀少な種類です。滝や森に囲まれた町・キュランダはケアンズ周辺の有名な観光地として知られ、ケアンズから出るレトロな鉄道やスカイレールで行くことができます。町には動物園・蝶園・鳥園やマーケットなどがあります。デインツリー国立公園には、壮大な熱帯雨林モスマン渓谷や、2つの世界遺産が隣りあうケープトリビュレーションがあります。公園内にある山の頂上からは『世界最古の森』と『世界最大の珊瑚礁帯』のコントラストが見渡せる、世界でも類を見ない景観。

オーストラリアの哺乳類化石地域自然遺産・1994年・クイーンズランド州

クイーンズランド州北西のリバースレーと、南オーストラリア州とビクトリア州の州境近くのナラコーテの二ヶ所の哺乳類化石保存地域。オーストラリアは世界でも有数の化石出土地区ですが、中でもこの二ヶ所はこの大陸独自の進化を遂げた哺乳類たちの軌跡を知る上で重要な場所となっています。広範囲にわたる化石の堆積物は、200万年以上に及ぶ哺乳類の進化の記録でもあり、また肉食カンガルーやタスマニアンタイガーなどの珍獣が存在したことを証明する場所でもあります。リバースレーは一般開放されていませんが、ナラコーテでは観光客向けの洞窟ツアーなどは催行されています。

中東部の多雨林保護区群自然遺産・1986年・クイーンズランド州

クイーンズランド州東南部とニューサウスウェールズ州北東部にまたがり点在する多雨林地区。6つの国立公園と4つの自然保護区を含みます。樹木の年輪から伺えるように、世界最古の熱帯雨林帯と言われています。樹海・洞窟・滝など見どころはバラエティに富み、希少種の動植物や、火山活動によってできたクレーターなどが見られることでも有名です。標高の違いにより、狭い地域に温帯と亜熱帯の雨林帯が接近し、多様な樹木が見られるバーリントン・トップス国立公園や、亜熱帯雨林と滝の美しいラミントン国立公園なども有名です。野生のワニを見ることのできるリバークルーズや、バードウォッチングなど、様々なツアーが催行されています。

ニューサウスウェールズ州

中東部の多雨林保護区群自然遺産・1994年・ニューサウスウェールズ州

クイーンズランド州東南部とニューサウスウェールズ州北東部にまたがり点在する多雨林地区。6つの国立公園と4つの自然保護区を含みます。樹木の年輪から伺えるように、世界最古の熱帯雨林帯と言われています。樹海・洞窟・滝など見どころはバラエティに富み、希少種の動植物や、火山活動によってできたクレーターなどが見られることでも有名です。標高の違いにより、狭い地域に温帯と亜熱帯の雨林帯が接近し、多様な樹木が見られるバーリントン・トップス国立公園や、亜熱帯雨林と滝の美しいラミントン国立公園なども有名です。野生のワニを見ることのできるリバークルーズや、バードウォッチングなど、様々なツアーが催行されています。

グレーターブルーマウンテンズ地域自然遺産・2000年・ニューサウスウェールズ州

シドニーから西に約100kmのところにある、ブルーマウンテンズ国立公園とその周辺の公園。シドニーから日帰りのツアーが出ており、避暑地としても多くの人に親しまれています。地層のくっきりとした砂岩質の岩盤に、広範囲に渡りユーカリが生い茂っています。そのユーカリから発散される油分が太陽光に当たり青く見えることからその名前が付いたといいます。有名な見どころでもあるスリーシスターズには、アボリジニの伝説によると『カトゥーンバ族のある三姉妹が他の部族の三兄弟に恋をした。しかし部族同士の定めで他の部族の人間と結婚をしてはいけないという決まりがあった。そしてその決まりを快く思わなかった三兄弟が力ずくで三姉妹をものにしようと、部族同士の戦いが始まってしまった。そこで、三姉妹にはあらゆる危害も加えさせまいと、カトゥーンバ族の祈祷師が三姉妹を岩にしてしまった。そしてその戦いの中でその祈祷師も命を落とし、三姉妹はもう二度と元の姿に戻れなくなった。』というエピソードがあります。その他にも滝や渓谷、洞窟など見どころは随所に散らばっています。

ウィランドラ湖群地域複合遺産・1981年・ニューサウスウェールズ州

ニューサウスウェールズ州南西部に位置します。ウィランドラ湖の周辺はオーストラリア大陸が他の大陸から分離する以前の痕跡をとどめる地帯です。湖群と名乗っていながら湖は4億年前のとうの昔に涸れ果て、砂の世界が広がります。人類がオーストラリア大陸に生息し始めた5,6万年前の時代を知る手がかりとなる貴重な動植物の化石が出土されています。良い状態の巨大有袋類の化石が見つかったほか、約2万6000年前と推定される、火葬されたアボリジニ女性の化石が発見されました。この他にも石器や動物の骨なども発見され、発達した文明であったことが伺い知れます。万里の長城を思わせる、長く続いた大地の盛り上がりであるウォールズ・オフ・チャイナは自然が作り出した壮大な景色。

ロードハウ諸島自然遺産・1982年・ニューサウスウェールズ州

シドニーの北東約700kmの沖合いにある、700万年前の海底火山の爆発によりできた島々。
ロードハウ島は南北に細長い形をしており、その周りにはポールズピラミッドと呼ばれる、激しい火山活動によってできた奇岩が散らばっています。166種類の鳥類、219種類の島原産植物、129種類の海鳥類が生息しています。一時は30羽にまで減少したが、島民の保護の元、300羽までに回復したロード・ハウ・クイナなど絶滅寸前の野鳥が10種類程生息しています。南緯30度という高緯度ですが、海底火山の生み出した浅い海底に熱帯からの暖流が流れ込むため珊瑚礁の形成が可能になり、島の周りを囲むようにして生息する珊瑚礁は、世界最南端の珊瑚礁です。そこには、熱帯の魚だけでなく、温帯の魚も同居しており、その数は490種類にも登り、独特な生物相を見せています。1788年に初めて人間の目に触れるまで、この島は生物たちにとって天敵のいないパラダイスでした。

シドニー・オペラハウス文化遺産・2007年・ニューサウスウェールズ州

シドニーを訪れる観光客の定番スポットでもある近代建造物です。国内の文化遺産としては、王立展示館に次いで二番目。世界遺産リストに登録された文化建造物の中で最も歴史の浅い建造物でもあります。スウェーデン製のタイルで作られた屋根は、貝殻やヨットの帆を思わせます。中には、世界最大のパイプオルガン「グランドオルガン」があるコンサートホールを始め、オペラ劇場、ドラマシアター、プレイハウス、スタジオシアター、その他にも複数のリハーサルスタジオ、レストラン、バーなどがあります。ハーバーブリッジとともにオペラハウスのある光景はシドニーで最も有名な光景で、あらゆるポストカードやガイドブックなどで見られます。

ビクトリア州

王立展示館とカールトン庭園文化遺産・2004年・ビクトリア州

メルボルンの中心街にある、オーストラリア唯一の文化遺産。アボリジニ関係以外での文化面での登録は初。1880年と1888年に開催された万国博覧会のために建築家ジョセフ・リードにより設計されました。ビザンチン、ロマネスク、ロンバルディック、ルネッサンスの各種建築様式を複合したスタイルと、中央にある大聖堂状のドームが特徴です。周囲を囲むカールトン庭園は季節によって様々な表情を表し、王立展示館と共に美しい景観を見せてくれます。内部の見学には予めツアー予約が必要になります。

ノーザンテリトリー

ウルル‐カタジュタ国立公園複合遺産・1987年、1994年・ノーザンテリトリー

オーストラリア中央部に位置するウルル(エアーズロック)とカタジュタ(マウントオルガ)を含む国立公園。アボリジニの聖地でもあります。高さ348mのウルルは、地殻変動と侵食によって今の形となり、カタジュタは、36の巨大な岩が連なる不思議な景観。元は同じ一つの堆積岩だったが、岩を構成する物質が柔らかかったことなど、条件が異なったため、現在のような異なった姿になりました。岩の赤色は、岩の鉄分が酸化したためです。最初に自然遺産として登録されますが、後にアボリジニの文化的価値が評価され複合遺産として登録されました。数々の壁画が残されています。現在、公園の管理に関するすべての重要事項は、ムティジュルという集落で、そこに住む150人ほどのアナング族の人々と協議しながら決定されます。その集落の水場には虹色の蛇が住んでいるという言い伝えがあり、神聖な場所として人間が足を踏み入れることを禁止されています。その透き通った水の綺麗さは必見。

カカドゥ国立公園複合遺産・1981年、1987年、1992年・ノーザンテリトリー

グレートバリアリーフと同時期に国内初の世界遺産に登録。ウルル(エアーズロック)同様、先住民アボリジニの聖地であり、5万年ほど前の貴重な壁画なども残されていることに加え、ここにしか生息しない生物や氾濫源など自然面での重要性から複合遺産として認定されました。アボリジニの壁画は3000ヶ所以上で確認されているそうです。動植物や鳥類・爬虫類・昆虫類など、オーストラリアの全生態系の3分の1の種類がここに生息しています。ダーウィンの東約250kmに位置し、日本の四国がすっぽり入ってしまうほどの大きさはオーストラリア最大規模の国立公園となっています。熱帯性気候で、乾季である4月~10月の間に訪れるのがベストシーズンだと言われていますが、12月~3月の雨季に行くと、増水し、勢いを増した壮大な滝を見ることができます。ただし雨季には立ち入りが制限される場所もあります。熱帯雨林・大湿原地帯・断層崖・滝・渓谷など自然の見どころが満載。

西オーストラリア州

西オーストラリアのシャーク湾自然遺産・1991年・西オーストラリア州

西オーストラリア州の州都パースから約850km北に位置するオーストラリア最西端の湾。手付かずの景観美を持ち、自然と生命の形成過程の痕跡が多く残されています。さらに、絶滅の危機にある生物種を育むことから、自然遺産の全ての基準を満たすものとして世界遺産に登録されました。ハメリンプールには、20~30億年前に地球上に初めて酸素を作り出したと言われる世界最古の生物・ストロマトライトが今も生息しています。インド洋に突き出す岬によって外洋から隔てられ、干満による海水の入れ替えがほとんどなく、塩分も通常の二倍でストロマトライトを餌として食べる天敵の貝やゴカイが生息できないために、ストロマトライトは今も一年に0.3mmというペースでゆっくりと成長を続けています。他にも、イルカと触れ合えることで有名なモンキーマイアや、貝殻だけで一帯が埋め尽くされたシェルビーチなどの見どころがあります。そしてこの周辺では、ジュゴンやジンベエザメも見ることができ、ウミガメにとっては産卵の地であるという、海洋生物にとっての安住の地となっています。

パーヌルル国立公園自然遺産・2003年・西オーストラリア州

西オーストラリア州の北部・キンバリー地区に位置します。約30万ヘクタールの広さ。かの有名なバングル・バングルがあることで知られています。数億年の時を経て、隆起と侵食を繰り返し現在のような奇岩群に至ります。遊覧飛行をしたり、洞窟や渓谷をトレッキングしたりできます。雨季には公園内の立ち入りが禁止されるため、4月~10月の乾季のみ行くことができます。

ハード島とマクドナルド諸島自然遺産・1997年・オーストラリア領

パースの南西4100kmに位置するオーストラリア領の島々。南極大陸からは約1700kmという場所にあり、亜南極気候に属します。他の大陸から隔離されているので、生物の進化や形成・分化の過程の研究に適しています。たまにやって来る漁船を除けば、この島には何年かに一度、科学調査船が訪れるのみです。オーストラリア政府は、科学調査や資料収集目的の訪問でも人数制限を課し、厳しく保全を行っています。島の周囲12海里の領域では、漁業や鉱物資源の採取も一切禁止となっています。

南オーストラリア州

オーストラリアの哺乳類化石地域自然遺産・1994年・南オーストラリア州

クイーンズランド州北西のリバースレーと、南オーストラリア州とビクトリア州の州境近くのナラコーテの二ヶ所の哺乳類化石保存地域。オーストラリアは世界でも有数の化石出土地区ですが、中でもこの二ヶ所はこの大陸独自の進化を遂げた哺乳類たちの軌跡を知る上で重要な場所となっています。広範囲にわたる化石の堆積物は、200万年以上に及ぶ哺乳類の進化の記録でもあり、また肉食カンガルーやタスマニアンタイガーなどの珍獣が存在したことを証明する場所でもあります。リバースレーは一般開放されていませんが、ナラコーテでは観光客向けの洞窟ツアーなどは催行されています。

タスマニア州

タスマニア原生地域複合遺産・1982年、1989年・タスマニア州

オーストラリアの東南端に位置するオーストラリア最大の島、タスマニア島の約20%を占める規模。ゆりかごのような形をしていることから名付けられたクレイドルマウンテンや、オーストラリア最深の湖であるセントクレア湖などで、散策や釣り・キャンプなどを楽しむことができます。長い間海に隔てられていたため、島に住む生物は独自の進化を遂げてきました。有袋類の動物が多いのもタスマニア島の特徴です。中でもタスマニアンデビルは、この島だけに住む固有種であり、現存する世界最大の肉食性の有袋類です。他にも、世界でたった2種類しかいない単孔類(卵で子供を産み、母乳で育てる哺乳類)に分類されるカモノハシとハリモグラも生息しています。陸上だけではなく、川や海はボタングラスから染み出るタンニンにより赤色に染まり、日中でも海底は暗くなるため、本来は深海にいるような生物が暮らしています。オーストラリア本土とは全く異なった独特の世界が広がります。

マッコーリー島自然遺産・1997年・タスマニア州

タスマニア島の南東1500km、南極大陸から北に1300kmに位置する亜南極諸島の一つ。
全長約34km、最大幅5kmという細長い形状をしたこの島は、タスマニア州に属します。風が激しいため樹木が生えず、草原が広がります。ペンギン類、アザラシ類の大繁殖地でもあり、海岸の岩場には10万頭以上のゾウアザラシや何百万羽ものペンギンが生息しています。中でも、ロイヤルペンギンはこの島とその周辺にしか生息していない一種。島の北端にはオーストラリア政府によって建てられた、様々な研究のための施設があります。この島はインド・オーストラリアプレートと南太平洋プレートがちょうど接するところにあり、地球上で唯一マントルからの火成岩が海上に達している場所でもあります。